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シューベルティアーデ電子版

ピアノ曲全曲演奏会「シューベルトツィクルス」を展開中のピアニスト佐藤卓史がシューベルトについて語る
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舞曲の分類

シューベルトの3拍子系の舞曲「ドイツ舞曲」「レントラー」「ワルツ」について、少なくともシューベルトの時代には違いがなかったということは前回書いた

ただ、それらの舞曲をいくつかのタイプに分類することはできる。ここでは2つの分類方法を提案したい。

(1)曲の構造による分類
舞曲は、ステップの都合上、8小節単位の楽節を取る。
1曲の基本的な構造は、[A(8小節)]+[B(8小節)]の16小節である。メヌエットやエコセーズも、基本的にはこの形である。楽式としては「二部形式」に相当し、実際には前半と後半にそれぞれ繰り返しが付くため、AABBの32小節で演奏する。
D378-3
8つのレントラー D378の第3曲。二部形式の舞曲の例。

一方で、後半が2倍に拡大している舞曲もある。多くの場合、[A(8小節)]+[B(8小節)+A(8小節)]の24小節で、これはすなわち「三部形式」にあたる。実際には前半・後半に繰り返しが付くのでAABABAの48小節。後半のAは前半のAに比べて変化を伴っていることが多い(ABA')。
D779-29
34の感傷的なワルツ D779~第29曲。三部形式の舞曲の例。

二部形式の舞曲はシンプルで、すべてが2で割り切れる美しいフォームを持っている。ただしシューベルトの舞曲の場合、AもBも主和音での終止が常なので、和声進行が単純で、スタティックな印象となる。
一方で三部形式の場合は、B部分で転調するなど、A部分と対比させることによって、音楽的な起伏やストーリーを作りやすく、よりダイナミックな内容になる。
シューベルトの連作舞曲においては、シンプルな二部形式とダイナミックな三部形式を混在させることによって、曲集全体に起伏を与えている。
本記事以降、二部形式はB(Binary form)、三部形式はT(Ternary form)と略記することにする。

(2)伴奏型による分類
ここでは4種類に分けてみたい。

まず、最もよく登場する、1拍目にバスがあり、2拍目と3拍目は和音(重音)を連打する、いわゆる「ぶんちゃっちゃっ」の形。
D779-21
34の感傷的なワルツ D779~第21曲

これを「ワルツ型」と名付けたい。後に一世を風靡する「ワルツ」の基本伴奏型であり、シューベルト自身が「ワルツ」と呼んだ唯一の舞曲、D365-3もこの伴奏型で書かれている。時折、2拍目と3拍目の音が異なることもある。1拍目のバスが付点2分音符に伸びたり、まれに1拍目を欠く(休符)場合もあるが、これらもすべて「ワルツ型」に含める。

次に、各拍とも単音で、2拍目と3拍目が同音ではなく、1拍目から順に上行し、主にレガートで奏される伴奏型。
D790-5
12のドイツ舞曲 D790~第5曲

これを「レントラー型」とする。レントラーやドイツ舞曲がワルツに進化する過程で、ワルツに含まれず、レントラーの中に残った特徴のひとつである。こちらもしばしば1拍目のバスが長音になり、それがバグパイプ風の保続低音となって、田舎っぽい気分を演出する。1拍目と2拍目が長く伸び、3拍目の打音が無くなる場合もレントラー型に含めたい。基本的には、全拍の打音が単音であることがこの型の特徴である。

次に、各拍にほぼ均等な重みがあり、自由な音型を描き、しばしばオクターヴで重ねられる伴奏型。
D779-8
34の感傷的なワルツ D779~第8曲

これを「メヌエット型」とする。やや古典的な趣があり、上2種よりも堂々とした曲想、緩やかなテンポを要求する。

最後に、3拍とも同じ和音やオクターヴを連打するもの。空虚5度を伴うオクターヴであることが多い。
D139
ドイツ舞曲 嬰ハ長調 D139

これを「ドイツ舞曲型」としよう。男性的でやや粗野な印象を与える。2拍目や3拍目が休符になったり、長い音符を含む場合もこの型に含める。

名称は便宜上既存の舞曲の名前に依ったが、たとえば必ずしも「レントラー型」がレントラーに頻出するというわけではない。またこれらの4つの伴奏型は、必ずしも曲ごとに固定されているわけではなく、1曲の中に複数の伴奏型が用いられることもあるし、これら4つの型に当てはまらない伴奏型も多数存在する。
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  1. 2016/04/04(月) 23:04:35|
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