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シューベルティアーデ電子版

ピアノ曲全曲演奏会「シューベルトツィクルス」を展開中のピアニスト佐藤卓史がシューベルトについて語る
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ピアノ小品 D916C 概説

ピアノ小品 ハ短調 Klavierstück c-moll D916C
作曲:1827年? 出版:1978年
楽譜・・・IMSLP


1827年に作曲が進められていたオペラ『グライヒェン伯爵』D918の自筆譜の束の中から1978年に発見された2つの小品の断片(D916B、D916C)は、ハ短調の即興曲D899-1の初稿と同じ五線譜を使用していることから、これら3曲は一連の曲集として構想されたという見方が強い。D899-1はその後ブラッシュアップを経て「即興曲集」の一角を成すに至ったが、他の2曲は未完のまま放棄された。

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ピアノ小品D916Cの自筆譜。鉛筆の走り書きで判読しにくい箇所も多い。

強烈な和音で始まるD916Cは、一見してソナタ形式の提示部と展開部を成しており、再現部の冒頭を示唆して中断する。これはシューベルトの未完のソナタ楽章と同様の状況であり、この作品を第1楽章とするハ短調ソナタが企画されていた可能性も高い。一方で散見される低音部のトレモロ書法はピアノでの演奏には適しておらず、オーケストラ用の楽曲のスケッチではないかという見解もある。
荒々しい第1主題と多幸感に満ちた変イ長調の第2主題はいずれも同じリズムパターンの反復が特徴的で、展開部では両主題がバランスよく取り上げられている。補作にあたっては上述のバスのトレモロを意図的に用いつつ、第1主題部の若干の省略以外はほぼ型どおりに再現部を構築し、最後に短いコーダを追加した。
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  1. 2023/10/23(月) 12:52:16|
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