シューベルティアーデ電子版

ピアノ曲全曲演奏会「シューベルトツィクルス」を展開中のピアニスト佐藤卓史がシューベルトについて語る
次回公演詳細

3つのエコセーズ D816、6つのドイツ舞曲 D820 概説

3つのエコセーズ Drei Ecossaise D816
作曲:1824年9月 出版:1956年

6つのドイツ舞曲 Sechs Deutsche D820
作曲:1824年10月 出版:1931年
楽譜・・・IMSLP

これらの舞曲は1824年の秋、ハンガリーのジェリズ(ツェリス、ゼレチュとも。現在のスロヴァキア領ジェリェゾフチェ)滞在中に作曲された。シューベルトは貴族エステルハージ家の音楽教師に雇われ、1818年と24年の2回、夏の別荘のあったジェリズに滞在している。シューベルトがこれほど長い間ウィーンを離れるのは珍しいことだった。シューベルトはここでエステルハージ家の令嬢、マリーとカロリーネの姉妹に音楽を教え、とりわけ1824年の滞在で妹のカロリーネに恋心を抱いたのではないかといわれている。

これらの2つの舞曲集は、おそらく舞踏目的ではなくレッスンの教材として書かれたのではないかと推測される。とりわけD820の自筆譜はカロリーネの死後遺品の中から発見されており、カロリーネに個人的に贈られたものと見て間違いないだろう。

D816の3つのエコセーズは、いずれも16小節のごく短い舞曲で、最初の2曲はニ長調、終曲は変ロ長調で書かれている。

D820の6つのドイツ舞曲は、6曲が並列されているのではなく、3曲ずつの2セットの形をとる。それぞれのセットの2曲目・3曲目の後で1曲目に戻るように指示されており、D380の「2つのトリオを持つ」メヌエットと同様に、1-2-1-3-1、4-5-4-6-4の順で演奏される。変イ長調で書かれた前半3曲では、繊細に変化する和声が、光と影のやさしい移ろいを描くかのようだ。後半3曲は変ロ長調で、強烈なアクセントと幅広い音域が豊かなコントラストを形成している。この曲集は1931年に出版され、同じ年に編曲されたアントン・ヴェーベルンによる管弦楽版でも知られている。
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  1. 2016/04/07(木) 08:07:07|
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