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ピアノ曲全曲演奏会「シューベルトツィクルス」を展開中のピアニスト佐藤卓史がシューベルトについて語る
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12のドイツ舞曲(「レントラー」) D790 概説

12のドイツ舞曲(「レントラー」) Zwölf Deutsche (genannt "Ländler") D790 Op.171
作曲:1823年5月 出版:1864年
楽譜・・・IMSLP

1823年5月の日付が記された本作の自筆譜は、後にヨハネス・ブラームスの手に渡り、彼が匿名の校訂者となって、1864年にシュピナ社から「12のレントラー(遺作)」として出版された。ただし自筆譜にはそのようなタイトルはなく、ただ「Deutsches Tempo」(ドイツ舞曲の速さで)と書かれているのみである。新全集では、ブラームスの命名によると思われる「レントラー」の題が外され、「ドイツ舞曲」に分類された。
この連作舞曲は、調性配列、キャラクターの配置、モティーフの関連性などが緻密に考え抜かれており、また和声のパレットも多彩で、複雑な表情がもたらされている。「楽興の時」に比類しうる性格小品集の趣すらあり、シューベルトの舞曲集の中で最高の芸術性を誇る傑作といってよいだろう。

1. ニ長調 [T] レントラー型メヌエット型
前半、後半とも16小節に拡大されている。田舎風の保続低音で始まるが、中間部でヘ長調に転調し、和音の強奏とともに聴く者を驚かす。
2. イ長調 [B] メヌエット型
こちらも後半が16小節だが、三部形式にはならず、二部形式が拡大した形である。力強いオクターヴユニゾンで始まる、ダイナミックな舞曲。1825年にカッピ社から作品33として出版された舞曲集「16のドイツ舞曲と2つのエコセーズ」D783の第1曲に転用されている。
3. ニ長調 [B] ワルツ型
減七の和音から始まり、半音階を多用した表情豊かな旋律線が魅力。
4. ニ長調 [B] ワルツ型
元気な付点リズムを伴うマズルカ風の舞曲。同じ調性ながら前曲と対照をなす。
5. ロ短調 [T] レントラー型
pppの最弱音が指示され、音価の長い和音が奏でられる静的な異世界。
6. 嬰ト短調 [T] その他+ワルツ型メヌエット型
ここにはもはや舞踏の要素はほとんど残っていない。独特の掛留と半音進行を多用し、ずるずると下降する音型、痛みを吐露するような和音の強奏が強烈な印象を与える。
7. 変イ長調 [T] レントラー型
主音のバスをペダルで伸ばすように指示されており、冒頭曲にも似た田園的な雰囲気がある。
8. 変イ短調 [T] ワルツ型
プラルトリラーで始まるメロディーと複雑な和声が、古き佳き時代のメランコリックな情緒を醸し出す。この曲もD783の第10曲に転用されているが、そこではイ短調に移調されている上、前半がもっと単純な音楽に書き換えられている。おそらく原曲はこのD790で、出版目的のD783に収録するにあたって、易しく書き直したのであろう。
9. ロ長調 [B] ワルツ型
無窮動ながら優しげな旋律線は、ショパンのワルツにも通じる洗練を感じさせる。
10. ロ長調 [B] ワルツ型
後者は跳躍の多い旋律とモティーフ間の対話が楽しく活発な印象。
11. 変イ長調 [B] その他+ワルツ型
属音の保続の上に、表情豊かな和音がしっとりとした情感を残す。
12. ホ長調 [B] ワルツ型
後半がやや拡大されている。単純な和声と繰り返しの多い旋律はさながら手回しオルガンのようだが、その機械的な進行の中に一瞬だけ現れる転調がきらりと光る。
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  1. 2016/04/06(水) 22:42:52|
  2. 楽曲について
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