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シューベルティアーデ電子版

ピアノ曲全曲演奏会「シューベルトツィクルス」を展開中のピアニスト佐藤卓史がシューベルトについて語る
次回公演詳細

[告知] シューベルトツィクルス第9回「4手のためのソナタI ―1818年、ツェリスにて―」

シューベルトツィクルス第9回チラシ
2018年10月5日(金)19時開演 東京文化会館小ホール ゲスト:中桐望(ピアノ)
♪ロンド ニ長調 D608 ♪ドイツ舞曲と2つのレントラー D618 ♪ソナタ 変ロ長調 D617(「グランド・ソナタ」)
♪フランスの歌による8つの変奏曲 ホ短調 D624 ♪3つの英雄的行進曲 D602
一般4,000円/学生2,000円 →チケット購入
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  1. 2018/10/05(金) 19:00:00|
  2. シューベルトツィクルス
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3つの英雄的行進曲 D602 概説

3つの英雄的行進曲 Trois Marches Héroiques D602
作曲:1818年? 出版:1824年(作品27)
楽譜・・・IMSLP

連弾のための行進曲は、舞曲と並んでシューベルトの生前に多くが出版され、人気を博していた分野である。しかし、当時は印刷されるとその原稿は処分されるのが常だったため、行進曲の自筆譜はほとんど残っておらず、作曲年の特定が困難な状況となっている。1818年1824年のツェリス滞在中にシューベルトは「たくさんの連弾曲、ことに行進曲を作曲した」との記録があることから、ほとんどの行進曲はこの赴任期間中に由来すると考えられているが、そのどちらの年の作品であるのかは判然としない。

本作は「英雄的行進曲」のタイトルで、1824年12月にザウアー&ライデスドルフ社から刊行されている。1824年10月にツェリスからウィーンに帰ったシューベルトが、出版社に譜面を渡し、それが早くも2ヶ月後に印刷されて発売されるとは考えにくいので、おそらくは1818年の作品であろうと思われる。全曲を通して付点のリズムが支配的で、勇ましい「ヒロイック=英雄風」な性格が強い。第1曲は比較的単純だが、第2曲と第3曲は、主部そのものがソナタ形式を踏まえた巨大な三部形式となっており、全体として非常に大規模な楽曲となっている。

第1曲(ロ短調)の主部は、1815年と16年にシラーの詩「戦い」に付曲した断片(D249/D387)のピアノの前奏をそのまま転用したものである。力強いオクターヴユニゾンで始まり、決然とした付点のリズムが悲壮感を漂わせる。中間部ではト長調に転じ、主部と同じ付点のモティーフが展開されていく。
第2曲(ハ長調)はトゥッティのアウフタクトで始まり、強弱の対比がオーケストラ的なダイナミズムを生んでいる。中間部は変イ長調で、甘美な三度の重音が続いていく。
第3曲(ニ長調)は、対話の要素が強い。冒頭のプリモの付点のモティーフにはすかさずセコンドが合いの手を入れるし、ニ短調の中間部ではプリモの両手がカノンを奏する。そのカノンの途中で、ふわりと同主調のニ長調に戻る手法はシューベルトならではの鮮やかさだ。
  1. 2018/10/03(水) 19:01:43|
  2. 楽曲について
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