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シューベルティアーデ電子版

ピアノ曲全曲演奏会「シューベルトツィクルス」を展開中のピアニスト佐藤卓史がシューベルトについて語る
次回公演詳細

ピアノ・ソナタ 第3番 ホ長調 D459 ・ 3つのピアノ曲 D459A 概説

ピアノ・ソナタ 第3番 ホ長調 Sonate Nr.3 E-dur D459
作曲:1816年8月 出版:1843年(「5つのピアノ曲」として)
楽譜・・・IMSLP

3つのピアノ曲 Drei Klavierstücke D459A
作曲:不明 出版:1843年(「5つのピアノ曲」として)
楽譜・・・IMSLP


D459- I. Allegro moderato
D459- II. Allegro
D459A- 1. Adagio
D459A- 2. Scherzo. Allegro
D459A- 3. Allegro patetico


これらの5つの楽章(あるいは小品)は、1843年10月にライプツィヒのC.A.クレム社から「5つのピアノ曲」のタイトルで出版された。作曲者の死後25年後のことである。初版譜の表紙には「作曲者の遺作 確かな筋から合法的な手段で取得された作品」という物々しい断り書きが記されている。普通に考えて、原稿はフェルディナントから入手したのだろう。

その後、最初の2楽章の自筆譜が発見される。そこには「ソナタ」の標題と、1816年8月の日付があり、第2楽章(出版譜ではスケルツォとなっているが、自筆譜にはただアレグロとのみ記されている)の中間部までで中断され、未完となっている。第3楽章・第4楽章の自筆譜は今に至るまで発見されていない。
ともあれこの自筆譜の存在によって、「5つのピアノ曲」は「ソナタ第3番」(5楽章構成)としてピアノ・ソナタの仲間入りをすることになる。
ただ、シューベルトのピアノ・ソナタで5楽章構成の作品は他に例がなく、スケルツォを2つ持つソナタというのも据わりが悪いことから、これが作曲者の意図した形ではないということは薄々感づかれてきた。第2楽章の自筆譜が未完であることから、シューベルトはこの時点でこの楽章を捨て、新たに第4楽章のスケルツォを書き下ろしたのだ、という説もある。
ところが、第5楽章アレグロ・パテティコの最後の8小節が、メヌエットD41-21の自筆譜の裏面に書き付けられ、それに続けてアダージョD349が書かれていることが発見されてから事情が変わってきた。アレグロ・パテティコは、おそらくソナタのフィナーレではなく、第1楽章として構想された作品であり、D349はそれに続く緩徐楽章なのだ。つまりD459-I,IIとは別個のホ長調ソナタがここに存在することになる。

そういうわけで現在のドイチュ目録では、ソナタとしてのアイデンティティが確かめられている最初の2楽章をソナタD459、それらと一緒に出版された残りの3楽章(3曲)を「3つのピアノ曲」D459Aとして、別々の番号で整理している。
クレムのもとに「確かな筋から合法的な手段で」もたらされた自筆譜はどのような状態だったのか。5曲がまとまっていたのか、他の多くの小品の中から任意に選び取ったのか、今となっては知る由もない。ただ、現在検討できる自筆譜の状況から察するに、
(A) D459-I(第1楽章)+D459-II(スケルツォ?)
(B) D459A-3(第1楽章)+D349(緩徐楽章)

という別系統のソナタ楽章が混在していることは確かである。
ひとつのソナタの中に、2つの緩徐楽章や2つのスケルツォが共存することはない。すると、類推となるが、明らかに緩徐楽章であるD459A-1はソナタ(A)に属し、D459-IIとは共存できないスケルツォD459A-2はソナタ(B)の後続楽章という可能性もある。ただしいずれも終楽章にあたる楽章がない。ファビオ・ビゾーニは従来D566のホ短調ソナタの関連楽章とされてきたホ長調のロンドD506が、ソナタ(B)のフィナーレとして構想されたのではないかと唱えている。
ソナタ(A)の成立時期は1816年8月で確定しているが、ソナタ(B)についてはさまざまな可能性がある。同じく1816年頃だとすれば、1817年作曲の第4番D537を「第5ソナタ」と記した謎にひとつの解決の糸口がもたらされるし、1817年とすれば同年の「6曲セット」の欠番たる第3ソナタ・第4ソナタの候補作品となり得るだろう。

ところで、シューベルトの完成されたピアノ・ソナタで第2楽章にスケルツォが来る作品はない。緩徐楽章とスケルツォの配置を逆転させたベートーヴェンの方式にシューベルトは従わず、モーツァルト以来の「緩徐楽章→スケルツォ」という順番に固執した。ところがピアノ・ソナタ以外の多楽章作品の中にはスケルツォが先行する作品もある。そのひとつがヴァイオリンとピアノのためのソナタ(二重奏)D574だ。
1817年の作品とされるD574と、この作品には非常に似通った楽想が認められる。

たとえば主和音の第2転回形のアルペジオで始まるスケルツォ(D574-IIとD459A-2)。
D574-II
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ D547~第2楽章 スケルツォ

D459A-2
3つのピアノ曲 D459A~第2曲 スケルツォ

ハ長調・3/8拍子で16分音符の刻みと3連符のポリリズムを持つ緩徐楽章(D574-IIIとD459A-1)。
D574-III
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ D547~第3楽章
D459A-1
3つのピアノ曲 D459A~第1曲

低音部の半音階に導かれて始まる3/4拍子の舞曲調の無窮動(D574-IVとD459-II)。
D574-IV
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ D547~第4楽章
D459-II
ピアノ・ソナタ 第3番 D459~第2楽章

こうやって並べてみると、どこか同種の表現の根から生まれた双子のように思えてならない。
そう考えると、D459-IIは主調のホ長調、ソナタ形式で書かれているのだから、D574-IVのような急速な3拍子のフィナーレと考えることも可能だ。初版譜にスケルツォと題されている先入観で見てしまうわけで、本来自筆譜にはスケルツォとは書かれていない。すると、D459-IとIIだけで、たとえばベートーヴェンの作品78の嬰ヘ長調ソナタ(「テレーゼ」)のような2楽章ソナタとして完結しているとみることも可能だ。シューベルトのピアノ・ソナタに2楽章で完結しているものは他に無いけれども・・・。

というふうに、楽章構成の可能性を考えていくときりがない。
今回は1843年の初版譜の通りの順番で5つの楽章を並べて演奏し、その後にアダージョD349も付け加えることとした。


D459-Iの書法上の際だった特徴は、弦楽四重奏の発想で書かれていることである。シューベルトの初期のピアノ曲に弦楽四重奏を連想させる部分はとても多いが、ここまで楽章全体にわたって線的なテクスチュアが貫かれている作品は珍しい。声部の絡み合うさまが提示部の両主題の性格を決定づけており、ホモフォニック=ピアニスティックな書法はコデッタで部分的に現れるのみである。展開部は相変わらず主題を並列的に配置していくスタイルであり、主題間の相克はみられない。ホ短調のドミナントペダル(H音の連打)上で始まり、ハ長調に転調、そこからイ短調を経由して、イ長調(下属調)から再現部を開始する。モーツァルトのK.545が典型例である下属調再現はシューベルトのピアノ・ソナタにはあまり例がないが、ヴァイオリン・ソナタ(ソナチネ)イ短調D385で行われている。
D459-IIは前述の通り、三部形式の舞曲楽章のように見えて実際には明瞭なソナタ形式でまとめられている。奇妙なオクターヴユニゾンで始まる第1主題はやはり弦楽四重奏のスタイルに嵌め込まれたあと、ドミナントペダルの上で切迫感のある展開を始める。属調に転調して、右手のオクターヴトレモロ音型が印象的な第2主題となる。両主題に共通するのは2分音符+4分音符の「長短」のリズムモティーフである。展開部は4つの和音によるカデンツで強引にト長調に転調して始まり、線的な書法でゼクエンツ(同型反復)を繰り返しながら次々とさまざまな調性へ転調していく。再現部はほぼ型どおりだが、実際には第2主題部にいくつかの細かいヴァリアントが施されており、これは出版社や第三者による改変とは考えにくいので、現存する未完の自筆譜とは別にシューベルト自身が完成稿を書き上げたと考えるのが自然だろう。決して途中で見捨てられ、D459A-2に取って代わられた不出来なスケルツォではないのである。

D459A-1は穏和かつ深い情感を湛えた緩徐楽章だが、楽式としては展開部を欠くソナタ形式であり、この作品にはソナタ形式の楽章がことのほか多いのがわかる。冒頭はやはり弦楽四重奏風だが、次第にピアニスティックな書法が支配的になっていく。
D459A-2は三部形式の精力的なスケルツォ。時折伴奏型に舞曲の要素が顔を出す。中間部はPiù tardo(とても遅く)と指示され、やはり弦楽四重奏的なポリフォニックな音楽となる。
D459A-3Allegro pateticoという指示は、他のシューベルト作品では目にしたことがなく、出版社による改変かもしれないが、楽曲のキャラクターと合致しているようにも思えない。5連符・6連符といった自由なリズムによるアルペジオのモティーフはシューベルト作品としては異色で、ベートーヴェンの「熱情」ソナタの展開部を想起させる。第1主題提示後の推移部はやはり弦楽四重奏風のスタイルになるが、第2主題、そして展開部においては完全にピアニスティックな書法に移行している。コーダも甚だ精力的であり、ヴィルトゥオジティを存分に発揮させて曲を閉じる。
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  1. 2020/09/03(木) 23:35:11|
  2. 楽曲について
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[告知] シューベルトツィクルス第12回「ピアノ・ソナタⅣ ―はじめてのソナタ―」

第12回チラシ
※公演中止・振替
2020年3月1日(日) 9月6日(日) 14時開演 音楽の友ホール
♪30のメヌエット D41より 現存する20曲 ♪ピアノ・ソナタ ホ長調 D154(未完・佐藤卓史による補筆完成版)
♪ピアノ・ソナタ 第1番 ホ長調 D157 ♪ピアノ・ソナタ 第3番 ホ長調 D459
♪3つのピアノ曲 D459A ♪アダージョ ハ長調 D349(未完・佐藤卓史による補筆完成版)
一般4,000円/学生2,000円
  1. 2020/03/01(日) 14:00:00|
  2. シューベルトツィクルス
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シューベルトのピアノ・ソナタ 概説

前回の一覧を眺めつつ、気づくことを述べてみたい。

◆シューベルトのピアノ・ソナタは「4楽章構成」が基本型である
完成作11曲のうち、8曲が4楽章構成である。モーツァルトのソナタはほぼすべて3楽章構成だし、ベートーヴェンは初期に4楽章ソナタを多数書いたが、中期~後期には3楽章あるいは2楽章に軸を移した(中期以降の4楽章ソナタはOp.26(「葬送」)、Op.28(「田園」)、Op.31-3、Op.106(「ハンマークラヴィーア)」の4曲のみ)ことと比べると、シューベルトのスタンスは特徴的である。3楽章のD567が、改訂時にメヌエットが追加されて4楽章となっている(D568)ことをみても、シューベルトがピアノ・ソナタの理想型を4楽章と考えていたことが窺える。
中間楽章の並びは必ず「緩徐楽章→舞曲楽章(メヌエットまたはスケルツォ)」という古典的な順序を踏襲しており、ベートーヴェンが試みたこの2つの楽章の倒置は行われていない。
一方で3楽章構成の完成作は3曲ある(D537, D664, D784)。3楽章ソナタの第2楽章は例外なく緩徐楽章である。
3楽章構成にしても4楽章構成にしても、第2楽章は第1楽章と異なる調性をとる。D459のホ長調のスケルツォは、現在第2楽章に置かれているが、上に述べた理由により、本来は第3楽章として構想されたものと考えることができる。

◆創作時期が明確に二分される
ピアノ・ソナタの創作は1815年(18歳)に始まり、ピークとなった1817年には1年間で6曲も手がけている。しかし1819年を最後に、いったんこのジャンルから手を引いてしまう。着手した13曲のうち、完成時期がはっきりしないD568・D664を入れても完成作は4曲という当たりの悪さであった。
このあとの3年間、シューベルトはオペラなどの舞台作品の創作に没頭し、他のジャンルの作品は極端に少なくなっている。しかし結局オペラ作曲家として成功する夢は叶わず、やがて健康を害する。ソナタ復帰の前年1822年に書かれたのが「さすらい人幻想曲」D760である。ここで追求した新たな書法と構造への試みが、それ以降のソナタ制作に反映されていることは疑い得ない。
1823年のD784以降のソナタは規模・内容ともに格段に充実している。D840を除けば、すべて完結しており、初期とは異なる創作姿勢が垣間見える。D845, D850, D894の大ソナタが次々と出版され、器楽作曲家としても認められるようになった。1824年と1827年にはソナタ作品はないが、このうち1827年には重要な2集の「即興曲集」(D899, D935)が書かれている。最晩年1828年のあまりにも有名な3つの最後のソナタは、より超越的な次元に到達しているとして、これを別の時期(後期)とみなし、全体を3つの時期に区分する説もある。

◆未完作が多いのはなぜか?
楽章の途中で断絶している「未完楽章」については、2つの断片を別にすれば、シューベルトの脳内では完成していたものと思われる。かなり書き進められており、再現部以降の繰り返しを端折った程度なので、後世の補筆も比較的容易に行える。初期ソナタに関しては、作曲者自身が友人たちに弾いて聴かせるぐらいしか演奏の機会もなかっただろうから、自分がわかる程度のメモ書きで差し支えなかったのかもしれない。
楽章が揃っていない作品については、シューベルトがはじめから書かなかったか、書いたものの散逸したか、あるいはバラバラの形で伝えられているか、のいずれかと考えられる。「楽章連結」論者は最後の説を有力視して、別々に伝えられている単独作品を合体させてソナタを再構成したのである。
この説に一定の妥当性があるのは、シューベルトのピアノ・ソナタの一部の楽章が、独立したピアノ小品として扱われていたことがわかっているからである。例えばD894のト長調ソナタは、1827年のハスリンガー社の初出版時には「幻想曲、アンダンテ、メヌエットとアレグレット」という4つの小品として出版されているし(「幻想ソナタ」の愛称はこのときのタイトルから来ている)、D625のヘ短調ソナタの第2楽章にあたるアダージョは、短縮・移調された上でD506のロンドと組み合わせられ、「アダージョとロンド」という形で出版されている(そのためアダージョには「D505」という別のドイチュ番号が付与された)。これらを敷衍すると、本来いずれかのソナタに属する後続楽章が、単独作品の束の中にまだ紛れ込んでいるという可能性も否定できない(この考えを推し進めて、D935の「4つの即興曲」が本来はヘ短調のソナタとして構想された可能性を、早くもロベルト・シューマンが指摘している)。ただしこれはあくまで推測の域を出ず、欠落している楽章がはじめから書かれなかったという可能性も残されている。
シューベルト本人が初期ソナタを整理して、せめて楽章のインデックスだけでも作っておいてくれれば良かったのだが、彼にはそんな時間は残されていなかったし、そもそもそのような作業に興味を示す性格でもなかった。逆に長生きして、初期作品を「習作」として破棄してしまう(ブルックナーやシベリウスのように)ことがなかったのは、私たちにとっては幸いだったかもしれない。
カオティックな状態で残されたシューベルトの自筆譜を整理し、保管してくれたのは次兄フェルディナントだった。未完作の多くが散逸せず、こうして今に残っているのはフェルディナントの功績によるところが大きいといっていいだろう。
  1. 2014/09/18(木) 11:10:45|
  2. 楽曲について
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シューベルトのピアノ独奏ソナタ 楽章付き一覧

「シューベルトツィクルス」でピアノ・ソナタを取り上げ始めるにあたって、独奏ソナタについて大まかなところを述べておきたい。

シューベルトが着手し、現存しているピアノ独奏ソナタ作品は23曲ある。1815年から最晩年の1828年までに書かれたもので、出版年は生前の1826年(D845)から1958年(D769A)までの長期にわたっている。
このうち2曲は第1楽章のはじめの部分だけで止まっている「断片」であり、これらを除く21曲にいわゆる「通し番号」が振られている。以前は通し番号に混乱がみられたが、現在は最後のD960を「第21番」とすることでほぼ決着している(ただし途中の番号に統一されていない部分がある。変ニ長調D567と、その改訂稿である変ホ長調D568を同一のソナタとして「第7番」を当て、第8番から第11番までが1つずつ繰り下がる。第12番に断章のD655を入れて、有名なイ長調のD664は「第13番」ということで統一される)。
確実に楽章が揃っており、完成した形で伝わっているソナタは11曲あり、それ以外は作曲中断(未完)や楽章不備などの明らかな欠落があったり、完成作と捉えるには疑問が残る作品となる。

断片を含む全23曲のうち22曲までは、1888年ならびに1897年に出版された、ブライトコプフ版のシューベルト全集(いわゆる「旧全集」)に収められており、これをシューベルトのピアノ・ソナタ出版の第1段階と考えることができる。
旧全集刊行後、単独小品として出版されていたいくつかのピアノ曲について、楽章の揃っていない未完ソナタに付随する後続(中間)楽章と見なしうるのではないかという説が、さまざまな学者によって唱えられ始めた。なるべくたくさんの楽章をくっつけて、ソナタとしての体裁を整えようという方針である。その最終的な到達点といえるのが1976年に刊行されたヘンレ原典版(第3巻)だろう。校訂を担当したパウル・バドゥラ=スコダは、すべての未完ソナタに補筆を施して「演奏できる」仕様に仕立て上げ、更に自らピアニストとして録音を行い、このフォーマットによるソナタ像を世界に広めた。現在、演奏の現場で最もよく使用され、信頼されている楽譜であり、後続の多くの出版譜が、多少の解釈の差はあるにせよ、このフォーマットを採用している。これをシューベルトソナタ出版の第2段階とする。
ところが、1996年から出版が始まったベーレンライター版の新シューベルト全集(いわゆる「新全集」)では、この「楽章連結」の試みに批判的であり、明らかな関連性が認められる場合を除いて「別作品」として扱うという厳格な方針が採られている。ソナタ出版の第3段階である。
これらの3つの段階を踏まえて、以下にシューベルトの全ピアノ独奏ソナタについて、楽章標記と調性も含めて一覧にしてみた。基本的にはヘンレ版(第2段階)のフォーマットを用いており、このうち太字は旧全集(第1段階)から変わっていないもの、グレーの文字は新全集(第3段階)で別作品(そのソナタに属するのか疑わしい作品)として扱われているものである。★のついた作品が、いわゆる「完成作」11曲である。

第1番 ホ長調 D157 (作曲:1815年2月 出版:1888年)
 I. Allegro ma non troppo ホ長調
 II. Andante ホ短調
 III. Menuetto. Allegro vivace ホ長調


第2番 ハ長調 D279 (作曲:1815年9月 出版:1888年)
 I. Allegro moderato ハ長調
 II. Andante ヘ長調
 III. Menuetto. Allegro vivace イ短調

 IV. Allegretto ハ長調 D346

第3番 ホ長調 D459 (作曲:1816年8月 出版:1843年(「5つのピアノ曲」として))
 I. Allegro moderato ホ長調
 II. Allegro ホ長調 [自筆譜未完]

 III. Adagio ハ長調 D459A-1
 IV. Scherzo. Allegro イ長調 D459A-2
 V. Allegro patetico ホ長調 D459A-3


★ 第4番 イ短調 D537 (作曲:1817年3月 出版:1852年(作品164))
 I. Allegro ma non troppo イ短調
 II. Allegretto quasi Andantino ホ長調
 III. Allegro vivace イ短調


第5番 変イ長調 D557 (作曲:1817年5月 出版:1888年)
 I. Allegro moderato 変イ長調
 II. Andante 変ホ長調
 III. Allegro 変ホ長調


第6番 ホ短調 D566 (作曲:1817年6月)
 I. Moderato ホ短調 (出版:1888年)
 II. Allegretto ホ長調 (出版:1907年)
 III. Scherzo. Allegro vivace 変イ長調 (出版:1928年)
 IV. Rondo. Allegretto ホ長調 D506 (出版:1848年(「アダージョとロンド 作品145」として))

第7番 変ニ長調 D567 (作曲:1817年6月 出版:1897年) ※第8番 D568の第1稿
 I. Allegro moderato 変ニ長調
 II. Andante molto 嬰ハ短調
 III. Allegretto 変ニ長調 [未完]


★ 第8番 変ホ長調 D568 (作曲:不明 出版:1829年(「作品122」))
 I. Allegro moderato 変ホ長調
 II. Andante molto ト短調
 III. Menuetto. Allegretto 変ホ長調
 IV. Allegro moderato 変ホ長調


第9番 嬰ヘ短調 D571 (作曲:1817年7月 出版:1897年)
 I. Allegro moderato 嬰ヘ短調 [未完]
 II. (Andantino) イ長調 D604
 III. Scherzo. Allegro vivace ニ長調 D570-2
 IV. Allegro D570-1 嬰ヘ短調 [未完]

★ 第10番 ロ長調 D575 (作曲:1817年8月 出版:1846年(「作品147」))
 I. Allegro ma non troppo ロ長調
 II. Andante ホ長調
 III. Scherzo. Allegretto ト長調
 IV. Allegro giusto ロ長調


第11番 ハ長調 D613 (作曲:1818年4月 出版:1897年)
 I. Moderato ハ長調 [未完]
 II. Adagio ホ長調 D612 (出版:1869年)
 III. - ハ長調 [未完]

第12番 ヘ短調 D625 (作曲:1818年9月 出版:1897年)
 I. Allegro ヘ短調 [未完]
 II. Adagio 変ニ長調 D505 (出版:1848年(ホ長調に移調し「アダージョとロンド 作品145」として))
 III. Scherzo. Allegretto ホ長調
 IV. Allegro ヘ短調 [未完]


断章 嬰ハ短調 D655 (作曲:1819年4月 出版:1897年)
 I. - 嬰ハ短調 [未完]

★ 第13番 イ長調 D664 (作曲:1819年? 出版:1829年(「作品120」))
 I. Allegro moderato イ長調
 II. Andante ニ長調
 III. Allegro イ長調


断章 ホ短調 D769A (作曲:1823年春 出版:1958年)
 I. Allegro ホ短調 [未完]

★ 第14番 イ短調 D784 (作曲:1823年2月 出版:1839年(「作品143」))
 I. Allegro giusto イ短調
 II. Andante ヘ長調
 III. Allegro vivace イ短調


第15番 ハ長調 D840(「レリーク」) (作曲:1825年4月 出版:1861年)
 I. Moderato ハ長調
 II. Andante ハ短調
 III. Menuetto. Allegro 変イ長調 [未完]
 IV. Rondo. Allegro ハ長調 [未完]


★ 第16番 イ短調 D845 (作曲:1825年5月 出版:1826年(「作品42」))
 I. Moderato イ短調
 II. Andante, poco mosso ハ長調
 III. Scherzo. Allegro vivace イ短調
 IV. Rondo. Allegro vivace イ短調


★ 第17番 ニ長調 D850 (作曲:1825年8月 出版:1826年(「作品53」))
 I. Allegro vivace ニ長調
 II. Con moto イ長調
 III. Scherzo. Allegro vivace ニ長調
 IV. Rondo. Allegro moderato ニ長調


★ 第18番 ト長調 D894(「幻想」) (作曲:1826年10月 出版:1827年(「幻想曲、アンダンテ、メヌエットとアレグレット 作品78」として))
 I. Molto moderato e cantabile ト長調
 II. Andante ニ長調
 III. Menuetto. Allegro moderato ロ短調
 IV. Allegretto ト長調


★ 第19番 ハ短調 D958 (作曲:1828年9月 出版:1838年)
 I. Allegro ハ短調
 II. Adagio 変イ長調
 III. Menuetto. Allegro ハ短調
 IV. Allegro ハ短調


★ 第20番 イ短調 D959 (作曲:1828年9月 出版:1838年)
 I. Allegro イ長調
 II. Andantino 嬰ヘ短調
 III. Scherzo. Allegro vivace イ長調
 IV. Allegretto イ長調


★ 第21番 変ロ長調 D960 (作曲:1828年9月 出版:1838年)
 I. Molto moderato 変ロ長調
 II. Andante sostenuto 嬰ハ短調
 III. Scherzo. Allegro vivace 変ロ長調
 IV. Allegro ma non troppo 変ロ長調


このリストから読み取れる事柄については、次回以降改めて述べてみたい。
  1. 2014/09/16(火) 21:13:30|
  2. 楽曲について
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