FC2ブログ


シューベルティアーデ電子版

ピアノ曲全曲演奏会「シューベルトツィクルス」を展開中のピアニスト佐藤卓史がシューベルトについて語る
次回公演詳細

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

2つの性格的な行進曲 D968B (D886) 概説

2つの性格的な行進曲 Deux Marches Charactéristiques D968B (D886)
作曲年代不明 出版:1829年
楽譜・・・IMSLP

4手のための行進曲の自筆譜は総じて失われており、作曲年代やその意図を特定するのは難しい。ドイチュは「英雄的大行進曲」D885や「行進曲」D928と同じ1826年頃と推定し、D886という番号を振ったが、1978年の目録改訂時に「作曲年代不詳」として新たにD968Bという番号が与えられた。作曲者の死の翌年、1829年にディアベリ社から作品121として出版されている。
フランス語のタイトルにあるcharactérisqueという語をどのように理解するかは議論の分かれるところだが、この語を冠する曲題はその後メンデルスゾーンに受け継がれ、やがてロマン派のピアノ小品を総称する「性格小品(キャラクターピース)」という言葉へと繋がっていく、その先駆けといえる用例である。

2曲はいずれもマーチとしては異例の8分の6拍子で書かれており、ハ長調の主部に対して中間部はイ短調をとるなど、共通する特徴を持つ。性格はいずれも陽気かついささかスケルツァンドであり、1拍目以外に置かれたアクセントが面白みを出しているが、第1曲では4拍目の中強拍が強調されることで勢いを加速するような趣があるのに対し、第2曲では3拍目、6拍目といった細かい弱拍上にアクセントが置かれており、複雑な和声も伴ってより微細なリズム感が表現されている。
スポンサーサイト
  1. 2015/10/29(木) 00:02:49|
  2. 楽曲について
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

幻想曲 ト短調 D9 概説

幻想曲 ト短調 Fantasie g-moll D9
作曲:1811年9月20日 出版:1888年
楽譜・・・IMSLP

4手の作品としては2作目にあたるD9は、1811年9月20日に完成した。調性的には相変わらず自由だが、フォームはABCBAの「序奏・後奏付き三部形式」にすっきりとまとめられており、また全体の緊張感の持続という点でも、前作から1年半の間の進歩には目を瞠るものがある。

ソのオクターヴユニゾンで始まる遅い序奏部は、2手用の幻想曲D1Eの開始部にも似た不吉な陰を背負っている。ハ短調で開始するアレグロの主部では対位法を駆使し、張り詰めた音楽が展開されていく。やがて次第に和声的な書法になっていき、ニ短調のドミナントで半終止すると、「マーチのテンポで」と指示されたニ長調の中間部に入る。柔らかいホルンの響きを伴う安らぎの時間はしかし長くは続かず、嵐のような主部と序奏部をニ短調で再現して終結する。シューベルトのデモーニッシュな一面が現れた、最も初期の例といえよう。
  1. 2015/10/28(水) 23:54:42|
  2. 楽曲について
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

幻想曲 ト長調 D1 概説

幻想曲 ト長調 Fantasie G-dur D1
作曲:1810年4月8日~5月1日 出版:1888年
楽譜・・・IMSLP

知られている限り、現存するフランツ・シューベルトの最初の作品である。自筆譜によれば、1810年4月8日に作曲を開始し、5月1日に完成している。時にシューベルトは13歳、コンヴィクトに入学して1年半ほど経った頃のことである。この頃はまだサリエリの個人指導は受けておらず、作曲に関してはほぼ独学だったようだが、そのような環境と年齢を考え合わせると、楽譜にして1000小節以上、演奏時間約20分もの4手のピアノ曲を書き上げたその意欲には驚くべきものがある。完成後、すぐに改訂稿(D1B)の作成に取りかかったのだが、これは途中で筆が止まっており、早くもシューベルトの「未完の王様」ぶりが発揮されてしまっている。

曲は、区切り方によって異なるが20前後の細かいセクションに分かれており、テンポも調性も頻繁に変化する。調性はト長調で始まるが、主要な部分だけでもヘ長調、ハ短調、変ロ長調、ロ長調、変ロ短調、変ホ長調などを経過し、最終的にはハ長調で終止するというとめどなさを呈する。
一方でテンポは、序奏的な冒頭部分と終結部(「フィナーレ」)の直前の部分を除くと、遅いテンポが持続する箇所は少なく、全体的に快速から急速といった速めのテンポが指向されている。また、冒頭の「ソ・ラ・シ」という3音の上行形、音程を更に広げた「ド・ミ・ソ」の上行アルペジオの音型が、全曲を貫く主要なモティーフとなっており、これらのことが若者らしいエネルギッシュな漸進性を本作に与えている。

細部についての解説は割愛するが、もうひとつ注目すべきなのは、セコンドのパートでバスのトレモロ上に現れるファンファーレ風のモティーフに「トランペット」と書き込まれていることだ。これは作曲者の脳内に、オーケストラの響きが鳴り響いていたことを示しており、そう考えればバスのトレモロはいかにもティンパニ風である。もしかしたらやがてシンフォニーとして編み直すためのスケッチという意味合いもあったのかもしれない。
  1. 2015/10/28(水) 13:37:43|
  2. 楽曲について
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。