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シューベルティアーデ電子版

ピアノ曲全曲演奏会「シューベルトツィクルス」を展開中のピアニスト佐藤卓史がシューベルトについて語る
次回公演詳細

アダージョ ト長調 D178(第2稿)

アダージョ ト長調 Adagio G-dur D178
作曲:1815年4月8日 出版:1897年
楽譜・・・IMSLP


本作に2つの異なる稿が存在することについては、以前に触れた通りである
第1稿と第2稿は同じテーマで始まるが、開始2小節目の後半から全く違う音楽が展開されている。
第2稿は和声の変化が多く、とりわけ装飾音のついたダクティルスのモティーフを繰り返しながらとりとめもなく転調していくB(中間部)は、もはや前衛的といえるほどだが、小節数を数えてみると、両稿はぴったりと一致している。すなわち、
A  |:9:|+|:15:|
B  33
A'  9+16(コーダ付)・・・第2稿はA'の2小節目で中断

という小節構造は共通しているのだ。
第1稿と、残されたA'の最初の2小節から類推すると、第2稿においてもA'はAの変奏付きの再現+コーダとなることは明白であり、今回の演奏会ではこのアイディアに基づく補筆版を演奏する。
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  1. 2015/10/26(月) 18:22:10|
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