fc2ブログ


シューベルティアーデ電子版

ピアノ曲全曲演奏会「シューベルトツィクルス」を展開中のピアニスト佐藤卓史がシューベルトについて語る
次回公演詳細

エコセーズ D782 概説

エコセーズ ニ長調 Ecossaise D-dur D782
作曲:不明 出版:1824年
楽譜・・・IMSLP


1824年2月にザウアー&ライデスドルフ社から出版された「Fr.シューベルトとM.J.ライデスドルフによる人気の新ギャロップとエコセーズ」にはシューベルトの手になる3曲のエコセーズが収録されている。さまざまな作曲家の作品を集めたオムニバス舞曲集にシューベルトが曲を寄せることはたびたびあったが、シューベルトと他の単一の作曲家との「2人集」というべき出版物はこれが唯一のものだ。
相手の作曲家マクシミリアン・ヨーゼフ・ライデスドルフ Maximilian Joseph Leidesdorf (1787-1840)はウィーン生まれで、1822年にイグナーツ・ザウアーと組んで出版社を興し、ベートーヴェンやシューベルトの作品を刊行した。作曲家としても活動したが、成功したとは言い難い。自社から舞曲集を出版するにあたって、シューベルトの知名度に頼ったということなのだろう。はじめにライデスドルフのギャロップが6曲、その後にシューベルトのエコセーズが3曲収められているが、表紙ではシューベルトの名前の方が先に記されている。
この3つのエコセーズのうちの第2曲が本作である。前後にはD781-4とD781-7が、それぞれ♯1のト長調/ホ短調(原曲は♭6の変ト長調/変ホ短調)で置かれている。

D782のドイチュ番号を与えられたこのエコセーズは民謡風の親しみやすい作品で、後半のIII度の和音が意表を突いている。自筆譜は発見されていない。
スポンサーサイト



  1. 2022/04/10(日) 14:41:05|
  2. 楽曲について
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0